漁業法改正

衆院は11月29日の本会議で、企業が新規参入しやすいように漁業権制度を見直す漁業法改正案を与党と日本維新の会などの賛成多数で可決し、参院に送付しました。漁業法の改正は実に70年ぶりです。

26日に日本政府はIWC[クジラの資源管理を担う国際捕鯨委員会]からの脱退を正式に発表しました。

日本の漁業生産は、長く世界でも有数と言われてきました。和食が魚介類に依存する割合も大きいですよね。そもそも、だしの基本である鰹節も昆布も海の幸。もともと、私は捕鯨支援派でもあります。捕鯨に反対する人々は、特に過激な行動に出る人たちは、何か人種差別的なことが根底にあるような気がしてなりません。[鯨はかわいそうで、他の食用の魚はかわいそうじゃない…。]

現在の日本周辺の海域、すなわち沿岸や沖合での漁業で漁獲される水産資源の状態は、その実に46%が「低位」となっています。これは、一部海域のイワシやサバをはじめ、資源水準量が低下し、回復を図らなくてはならない魚種が増えている、ということです。さらに1961年には70万人に達するほどであった漁業に従事する人の数は、その後1993年には32.5万人と50%以下になり、さらに2017年には15.3万人へと大幅に減少しています。なんと1/4になっています。

こうした漁業生産を取り巻く変化に対応するため、国内水産業を大きく改革する必要性が指摘されてきたことが、水産政策改革と今回の法改正につながってきました。

昨年からの仕事の経緯で海のことには大変、興味があり、また死活問題でもあります。

今回の改正に関して、ちょっと調べてみました。ずいぶん前ですが、そこまで言って委員会にゲスト出演していた小松正之氏の「日本の海から魚が消える日」を読んでみました。日本の漁業が抱える根本的な問題とその問題に対する打開策が論理的に書かれています。

農林水産省のホームページから変更の概要を取り出しましたが、さっぱりわかりません。また、法律改正の内容も既にホームページにアップしてありますが、法律用語が多く、私の語学力では、何を書いてあるのか、外国語のようにも感じます。水産庁の水産白書に詳しいですので興味がありましたら、一度ご確認ください。

総務省のデータベースから統計数値を調べるととんでもないことになっています。人材不足は既に書きましたが、高齢化率も40%近くなっており、水産会社の社長から伺う話ともリンクして、既に漁業自体が立ちゆかなくなっています。

今回の改正は
・漁業を経営できる人材の確保[待遇改善]
・事業化の為の企業参入障壁の緩和
・資源の持続可能な確保
政府の方針は難しい言葉で言うとこんな感じです。

1.は、国民に対し水産物を供給する使命を有しているが、水産資源の減少等により生産量や漁業者数は長期的に減少傾向。他方、我が国周辺には世界有数の広大な漁場が広がっており、漁業の潜在力は大きい。
2.な資源管理と水産業の成長産業化を両立させるため、資源管理措置並びに漁業許可及び免許制度等の漁業生産に関する基本的制度を一体的に見直す。

資源保護の観点から言うと資源保護のための総量規制はもちろんありますが、逆に人材不足で取らなさすぎても漁業権が剥奪されるというのもポイント。実際、廃業する漁師が多いようですから…。[前出の社長談]

世界のデータを見ると中国はもちろん、先進国ではノルウェーが大幅に養殖の生産量を増やしています。そうです、「ノルウェーサーモン」です。世界で人気の回転寿司、上海でサーモンの売れ行きにびっくりしましたが、こんなところに原因があったとは。
日本でも肉食化が進行していますが、魚介類でも大型で脂ののりがよい魚種に人気が集まっているようです。

この改正に合わせて来年度の予算請求もホームページにありましたが、なんと前年度比1.7倍。数量規制で収入が減る漁師の方への保証もありますが、新たな設備投資に対する補助金も設定されるようです。まあ、社会保障費に比べると微々たる金額ですが。
人材確保のための助成金もあるようです。このあたりは入管法の改正にもリンクしているようです。

具体的には全く発表がありません。野党の追求がうざったいので、細かな審議は無しと言うのが入管法と同じ方法論でしょうか。一部の既得権を持っている人、天下りの人に偏って予算が行かないように、私も逐次チェックをします。

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